秋田・エコ住宅視察ツアーレポート

Introduction

政府による再生可能エネルギー政策の推進や、スマートハウス、ゼロエネルギー住宅の一般消費者への浸透などにより、エコ住宅へのニーズが急速に高まっています。これにより、工務店や設計事務所へ求められるデザインや機能性も変化しているのではないでしょうか。

株式会社タニタハウジングウェアでは、こうしたエコ住宅への高まるニーズに対応する工務店・設計事務所の皆さんのサポートのため、「建築知識ビルダーズ」協力のもと2017年4月12・13日に「秋田・エコ住宅視察ツアー」を開催いたしました。

本ツアーでは、総勢30人以上の工務店や設計事務所の皆さんに参加いただき、エコ住宅トップランナーの建築家(有)西方設計 西方里見氏と、(有)もるくす建築社の代表取締役 佐藤欣裕氏の最新エコ住宅を見学し、直接質問に答えながら学べるツアーとなりました。

視察ツアー スケジュール

1日目

  • もるくす建築社・佐藤氏自邸見学 spot1
  • タニタハウジングウェア秋田工場見学 spot2
  • セミナー
    「エネルギー自給自足と快適性」佐藤 欣裕氏
    「Q1住宅モデル能代の試み」西方 里見氏
    「これからのZEHを考える」佐藤 欣裕氏×西方 里見氏

2日目

  • 西方設計アトリエ見学 spot3
  • 西方氏自邸(Q1住宅モデル能代)見学 spot4
主催:
タニタハウジングウェア
建築知識ビルダーズ

Spot01 もるくす建築社「佐戸の家」Spot01 もるくす建築社「佐戸の家」

もるくす建築社「佐戸の家」

まず最初にツアーで向かったのが、もるくす建築社の「佐戸の家」。

この「佐戸の家」は、代表の佐藤欣裕氏の自宅でもあり、「エコハウス大賞2015」にて最優秀賞を受賞しました。

秋田県大曲市の住宅街にあり、採光性の高い一面ガラス張りでデザイン性を高めつつ、川沿いの土手にはオフグリッドを実現するために太陽光パネルが並べられているエコ住宅です。

角に設けられた集熱パネルは、太陽光をめいっぱい取り込むために南東角の1階と2階を縦断して取り付けられており、太陽熱をしっかり取り入れながら特徴的な外観を損なわない設計がなされています。

内観は、ヨーロッパのシンプルなデザインに触発された佐藤氏こだわりの空間となっており、ひときわ目を引くのが秋田県産院内石積みの壁。たくさんの光を浴びながら、重厚感のある質感の石壁が引き立ちます。

生活のためのエネルギーは、極力太陽光パネルによる発電と、太陽熱集熱によるものを活用しているという佐藤氏。自らもオフグリッド生活を実践しており、建築設計のみならず、これからの省エネルギー時代の暮らし方にまで想いを馳せていることが感じられました。

もるくす建築社「佐戸の家」

参加者の声

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Spot02 タニタハウジングウェア秋田工場Spot02 タニタハウジングウェア秋田工場

タニタハウジングウェア秋田工場

にツアーで向かったのが、株式会社タニタハウジングウェアの秋田工場。前述のもるくす建築社「佐戸の家」でも採用されているガルバリウム雨樋の製作を行っています。

広大な敷地の中に整然としたラインが配置されており、建築家の皆さんからも自分がいつも採用している建築材がこのように作られているのか金具が丁寧に作られていく様子を見学いただきました。

また、工場を見学していただいた後には、工場内の食堂を利用しての講演会を開催。

もるくす建築社「佐戸の家」の設計を担当された佐藤欣裕氏によるヨーロッパ建築への想いや設計コンセプトの考え方などについてお話しいただきました。

次に西方設計の西方里見氏による、「死なないための家」という、ちょっと驚くタイトルの講演。冬の秋田という厳しい温度差のある環境下で、ヒートショックに対して向き合い、暮らしやすさとのための必要な機能について、データを交えて熱心にお話しいただきました。

タニタハウジングウェア秋田工場

参加者の声

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Spot03 西方設計アトリエSpot03 西方設計アトリエ

西方設計アトリエ

2日目は西方設計の建築事例を見学するため、秋田県大曲市から能代市へ移動。西方設計のアトリエにお邪魔しました。

特徴的な片流れ屋根は、置屋根で、多様な植物が植えられていました。程よい色に変色した木の壁との調和が印象的な外観でした。

大きなガラス窓には外付ブラインドを装備し、室内への採光性を調整できるなどの工夫も。

そして特に目を見張るのは観葉植物がところ狭しと飾られた、まるでジャングルのようなアトリエ内部。この観葉植物が湿度調整の役割も担ってくれており、秋田の豪雪地帯にありながらストーブ1台で全空間暖房を実現しているそうです。(スタッフの方の大事な仕事に、観葉植物への水やりがあるそうです)

アトリエ内では、西方氏をはじめスタッフの方にも熱心に外壁の経年変化や雰囲気の良さを作り上げるための工夫について質問が飛び交い、プチ講習会が開かれるなど、学びの場となっていました。

西方設計アトリエ

参加者の声

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Spot04 西方設計Q1住宅モデルSpot04 西方設計Q1住宅モデル

西方設計Q1住宅モデル

本ツアー最後の目的地は、同じく西方設計による「Real ZEH Q1住宅モデル能代」。西方氏の自宅として設計された、Real ZEH住宅を見学させていただきました。

特にこだわったポイントが、ドイツから輸入された外付電動ブラインド。吹き抜けになっている壁面すべてを覆う、非常に大きな作りで、全開にした際の光の入り具合は快適そのもの。

吹き抜けは採光性はもちろん空調管理のためでもあります。床下エアコン家中の空気を循環させ、冬は暖かく夏は涼しく暮らしやすい「死ににくい家」の作りになっているそう。

の中の設計のあちらこちらに様々な工夫がされており、参加された建築家の方も写真を撮りながら熱心に西方氏の説明に聞き入っていました。

西方設計Q1住宅モデル

参加者の声

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今回は2日間に渡って合計4箇所を巡るツアーを実施いたしました。大手ハウスメーカーもZEHを主力商品と捉える中、
工務店・設計事務所に求められる役割も変わってきています。

デザイン性だけでなく、エコ住宅のように機能性を兼ね備えた住宅施工案件のニーズに答える。

参加された工務店・設計事務所の方とお話しをすると、すでにそのようなお客様の声も多く寄せられているそうです。

今回の秋田・エコ住宅視察ツアーでは、見学した建築事例による学びに加え、日本各地の工務店・設計事務所の方々が
現地で自らの事例を交えて話し合い、意見交換することも非常に有意義だったという声が聞かれました。

これからも、株式会社タニタハウジングウェアでは、エコ住宅に取り組む工務店・設計事務所の皆さんをサポートする
ため、このような取り組みを今後も重ねて参りたいと思います。